産業保健師は求人数が少ない上に、競争率が高いため転職の難易度が高め。
「産業保健師は人気の職業なので、未経験からの転職は難しい」
転職の相談をしたとき、大学の先生や転職エージェントにこう言われたことはありませんか?
- 未経験から産業保健師を目指している
- 周りに産業保健師がいないので、転職体験談が聞けない
産業保健師を目指す人はこんな状況に置かれていることが多いですよね。
そんな言葉を聞くと「自分じゃとても太刀打ちできないな」と諦める人も多いのではないでしょうか。
私も未経験から産業保健師に転職したひとりなので、最初は心が折れたものです。
現役産業保健師となった今、以下について考えてみました!
- 未経験から産業保健師になるのが難しい理由
- 未経験を雇うメリットはある?
- 未経験が「避けるべき求人」は?
- 未経験が「狙うべき求人」は?
もちろん狭き門なので、「絶対に産業保健師になれる!」と言うことはできません。
しかし「未経験からの転職は難しいから」という理由で転職活動を諦めている人にぜひ読んでほしい内容です。
未経験から産業保健師になるのが難しい理由
「1人職場」が多いから
産業保健師の求人票を見ると「経験者優先」と書かれていることがありますよね。
それを見て
やっぱり未経験は不利なんだ…
と気が引ける人も多いと思います。
中には「産業保健の経験●年以上必須」となっている求人もあり、応募すらできないことも多いです。
その理由は、産業保健の現場に「1人職場」が多いことにあります。
「1人職場」とは、事業所(企業)に配置されている保健師が1名のことを指します。
「1人職場」についての詳細はコチラから!
1人職場が「未経験」の採用を渋るにはこんな理由があります。
- 新人を教育する先輩保健師がいない
- 保健師が1名だけなので即戦力でないと困る
- 相談相手となる同僚保健師がいないため、未経験には過酷
保健師ひとりあたりにかかる業務負担・責任が大きいから
産業医と違い、産業保健師は法律での配置義務がありません。
そのため、産業保健師は1~2名の少人数体制であることがほとんどです。
従事人数が少ないと、それぞれの保健師にかかる業務負担・責任が大きくなります。
一般企業での数少ない医療職としてのプレッシャーも。
そのため「未経験(特に社会人経験年数が浅い場合)には荷が重い」という理由で敬遠されることもあります。
新人教育をするためのマンパワーがないから
産業保健師は少ない人数で企業の健康経営を支えています。
保健師ひとりで従業員1000名の健康管理を行なうこともよくあります。
そのため、先輩産業保健師がいる場合でも新人教育が難しい場合も…。
結果、最小限の情報共有で即戦力になってくれるであろう経験者が優遇されます。
産業保健師の新人教育が難しい理由は以下の通りです。
- もともと抱えている業務が多く、新人教育を行う時間と余裕がない
- 抜けた保健師の穴を埋めるため、普段より業務量が増えている
- 大人数で仕事を共有することがなく、マニュアルを作成していない
未経験を雇うメリットだってある!
他の企業に染まっていないので育てやすい
求められる産業保健師像は、企業によって様々です。
時には「産業保健の経験者」であることが仇になってしまうことも。
それは「企業が求める保健師像≠候補者が築いてきた保健師像」という場合があるからです。
中には方向性の違いから保健師同士のトラブルに発展することも…
未経験者の場合、何色にも染まっていないので企業が求める人材に育ちやすいというメリットがあります。
新しい視点を取り入れられる
長く産業保健師をしていると、初めのころ抱いていた「些細な疑問」がなくなってきます。
なんでこうなっているんだろう?
もっとこうしたら良いんじゃないの?
未経験だからこそ新しい視点で業務を発展させていけることもあります。
【実例】最終選考で経験者に勝った人もいる!
これは私の知人の話です。
彼女は産業保健師「経験者」として転職活動をしていました。
転職希望先は、保健師が複数人在籍する企業。
無事最終面談まで進むことができましたが、結果は「不採用」。
求人情報には「経験者優遇」と書かれていたそうですが、採用されたのは産業保健師「未経験」の人でした。
不採用の理由ははっきりと聞くことができなかったそうですが、
現場の保健師から「経験のないフレッシュな人材が良い」と希望があったので…。
という旨を伝えられたそうです。
「経験者優遇」にも関わらず、最終面談で「未経験者」が勝った理由…
- 会社側は「経験者の方がいいだろう」と考え「経験者優遇」で求人を出した
- 現場の保健師は染まっていない人材を育てる方が良いと考えていた
- 互いの求める人材が違い、最終的に現場の意見が通った
あくまでの推測ですが、こういうことではないでしょうか。
「企業が求める人材≠現場の求める人材」なのはよくあることです。
この事例から経験者優遇でも「未経験者」が採用される可能性はあるのだと分かります。
未経験が「避けるべき求人」「狙うべき求人」
避けるべき求人
「未経験」の人もどんどん産業保健師にチャレンジしてほしい!
そう思いますが、こんな特徴を持つ求人は避けたほうが良いかも…
- 1人職場
- 新規立ち上げの職場
「新規立ち上げ」とは、1から健康管理室を立ち上げることです。
当然ですが、前任者はいません。
「一人職場」と「新規立ち上げ」は、身近に相談できる同僚保健師がいません。
経験不足から予想以上に苦労するかもしれないと頭に入れておきましょう!
狙うべき求人
逆にこんな求人はある程度のフォロー体制があるので「未経験」でもオススメです!
- 産業保健師が複数人いる
- 新規立ち上げだが、自分以外に産業保健経験者が採用されている
ただし、「未経験歓迎」で正社員スタートの求人はほとんどありません。
契約社員や紹介予定派遣など、「正社員以外」の雇用形態も候補に入れると転職の成功率はグッと上がります!
まとめ:難しいが、「未経験」を理由に諦める必要はない
いかがでしたか?
本日は「未経験者は産業保健師になれないのか?」についてお話してきました。
企業によって求める人材はさまざまです。
採用の決め手は「経験の有無」だけではありません。
あなたの人柄が採用の決め手になることも。
結論
未経験でも産業保健師になれるが、企業との相性が決め手になる!
まずは経験を積むために「正社員以外」の雇用形態も候補に入れよう!
経験者に比べると、転職活動期間は長くなりがちですが「未経験だから」という理由で諦めている人は一度チャレンジしてみるのも良いですよ。